音楽

TC-K333ESA (2)

333topbefore

機種としては、だいぶ以前に紹介した333ESAです。最近はオークションでも、高級カセットデッキの値段が高騰し、ウオッチはするものの、入札はほとんどしておりませんでした。333ESAも例外ではないのですが、残り時間の割に安かったので、久しぶりに入札したところ、運良く(?)取れてしまいました。通電のみ確認のジャンク、傷はありましたがサイドの化粧板も付いておりました。天板を開けた途端、この有様。

333bottomebefore

底のサビも凄い。いやあ、どうして皆さんわかるのでしょうね、外観写真は全体にきれいだったのですが。まだまだ私のジャンクを見る目が鍛えられていないからでしょう。この333シリーズは555と違い、もともとフレームの素材が錆びやすいのですが、ここまで朽ちているのは初めて見ました。なんかサビ臭い。もうやる気も失せて、このまま黙って再出品も考えましたが、せっかく333が安く入手できたので、手を入れてみることにします。通常の修理だけでは物足りないというか、錆びたフレームを見ているとやる気が起こらないので、まずフレームを再塗装することにします。

333flamebefore

プリント基板やトランスも全て外します。333ESAはこれまでの修理画像データが豊富にあるので、配線引き回しなど気にせずどんどん外してゆきます。それにしてもサビが凄い。

333flameresolved

フレームもバラバラにします。もうなんかこのまま袋に入れて、燃えないゴミに出してしまいたいという気もしてきました。(笑)

333sandpaper

以前、何かのセールでついでに安く買ったスーパーソニックスクラバーが、初めて役に立つ時が来ました。先端に片面がマジックテープのサンドペーパーを丸く切って貼り付けます。グラインダー代わりです。小さくて小回りが利きます。面白いようにフレームのサビが取れます(黒い痕は残る)が、サビの粉が周囲に飛び散るので、花粉用マスクをしてベランダで行いました。

Paintspray

本来なら錆取り後、下地処理をするところですが、手を抜いてサビの上から塗装できるという、染めQ サビたまんまで塗れるカラー(ブラック)を使いました。 

333flamepainted
どうでしょう、素人目にはきれいに仕上がりました。

333bottomepained

底板もこんな感じ、よく見れば再塗装したことがわかるかもしれませんが、断然こちらのほうが良いですね。まだ塗装臭はありますが、サビの臭いはありません。ついでにインシュレーザー(足)のゴムも、ボロボロだったのでホームセンターで買ったゴム足に交換しました。違和感はありません。

333condenser

もちろん、本体のデッキ修理も行いました。定番のゴムベルトやコンデンサーの交換に加え、壊れていたヘッドフォン端子の交換、電源ケーブルも切断されていたので、新しいものを付けました。

333frontafter

天板をつけると、見栄えは修理前とあんまり変わらないのですが、自己満足の一台です。

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Lo-D D-99 (その3)

D99rewind3さて、このメカの巧妙な動きをご説明しましょう。まずは巻き戻し(REWIND)。FF/REWINDアーム(ギア)は裏側でアイドラープーリーに繋がっています。このアームが左に動いて同時に左側のリールを回転させ、テープを巻き取ります。

D99rew3早送りではFF/REWINDアームが右に、FFギアが左上に移動してアームのギアと右側のリールの間で噛み合って右側のリールを回転させます。FF/REWINDアームのギアが常に反時計回りなので、FFギアを途中で挟むことでリールの回転方向を逆転させるのがミソです。ちなみにFFギアは常に右側リールと噛み合っており、FF以外のモードでは空回りしています。このため前の記事で書いたように経年の変形でFFギアの動きが悪くなると、特に再生時に右側リールの回転負荷となり、再生ができなくなります。

D99play3最後再生では、FFギアではなく、ゴムのPLAYアイドラーがせり上がり、FF/REWINDアームと右側リールの間で噛み合って右側リールを回転させ巻き取ります。PLAYアイドラーがFF/REWINDアームの先端の径の細いギアに噛み合うことで、モーターの回転数を落とさず、巻取りリールの回転速度を落とすことができます。さらにPLAYアイドラーが右側リールの外側部分に噛み合うことで、リールのスリップ機構が有効になります。これにより右側のピンチローラーから送り出されたテープを常に適度なテンションで巻き取ることが出来ます。

3さて、本題に戻りますが、本機はメカを組み上げて正常に動作するようになりました。ところが試聴を始めて1時間位でしょうか、何かの拍子にデッキの中からカタッと音がします。それが時間が経つと次第に頻度が高くなりました。それがデッキの動作に何か影響を与えることはないのですが、何の音か非常に気になり不快です。ふとAKAI(A&D)デッキのカタカタ音を思い出しました。しかもそれが電源を落とした後でも、数回音がするのです。開腹して観察すると音は3つあるうちの1つのREWソレノイドから発していることがわかりました。テスタを当ててみると確かに音がする瞬間にソレノイドの端子間に9Vがかかっています。hifiengineからダウンロードしたD-E99のサービスマニュアルの回路図を参考に基板を追って調べると、ソレノイドを制御するスイッチングトランジスターのベース②には制御ICから異常なON信号は来ておらず、スイッチングトランジスターQ415が勝手にON/OFFしていることがわかりました。いわゆるトランジスター単独の故障です。交換です。ついでに残り2つのソレノイドのスイッチングトランジスター2SD947も交換しておきました。これでカタカタ音は消滅しました。制御ICの故障だとお手上げでしたが。

D99headLo-Dの新形状チタン溶射R&Pコンビネーションヘッド、クローズドループデュアルキャプスタン。

D99frontfaceATRS(自動周波数特性補正システム)搭載。Lo-Dのデッキは音がドンシャリ形とよく言われますが、自己録音再生ではそんなことはなく、ソースとの差もかなり小さいと思いました。ATRSも色々なテープで問題なく動作しましたが、もとの音質が高かったせいか、あまり音質の改善は感じられませんでした。

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Lo-D D-99 (その2)

D99idlerremoved_2D99idlerremoved3_2ゴムと言えば次はアイドラーです。これもストッパーゴム同様石と化しており、手で曲げるとポッキリと折れて砕けてしまいました。丁寧に古いゴムを削り取り、右の写真のように新しいゴムを装着しました。このゴムにはお馴染みの「ゴム通」様のe-カットを利用しています。ゴムの内径を少し小さめに指定して製作、装着動作共バッチリでした。

D99pinchrold_2ゴムと言えばもう一つはピンチローラーです。本機のピンチローラーは左右とも見た目割れはなく、きれいなものでした。普通のジャンカーさんならアルコールで拭いてそのまま使うでしょうが、過ぎた月日、他のゴムの劣化具合から、もう無条件に交換でしょう。割れはないもののかなり固くなって本来の弾力がなく、表面を研磨しても指で触ると表面がツルツルのままで、食いつきがありません。さて、右巻取り側のピンチローラを外してみて驚きです、ゴムの穴の中央部分に溝が切ってあり、そこにプラスチックの軸の凸部が入り、ゴムが軸から横にズレない様になっていました。ブラスチックの軸の両端に薄い壁があり、中のゴムがズレないようになっているものはよく見かけます。

D99pinchr_2交換用のピンチローラー用のゴムも先ほどのストッパーゴムの加工業者に図面を渡して製作をお願いしました。もちろん値段が高くなるので穴の中央部分に溝は付けていません。こちらの加工はまったくリーズナブルな価格でした。さて、この写真でわかるでしょうか、ピンチローラー表面の中央部がやや凸になっています。これはローラーの専門用語で「ラジアルクラウン」という形状で、凸の中央部が先に接触して、強い密着力で蛇行の少ない搬送が出来るというものです。カセットデッキに少し詳しい方なら、高級デッキの右側巻取り側がラジアルクラウンになっていることをご存知だと思います。一方左送り側のピンチローラーはテープガイドが付いているので、ラジアルではなく直線状になっていると思います。

D99atrsswitchD99atrsswitch2本機はタクトスイッチのON抵抗がほぼ無限大でしたので、全数交換しました。一般的なタクトスイッチではなく、導電性のある黒いゴムを端子間に押し付けるという構造で、カチッという接触感触はありません。一般的なものに交換することも検討しましたが、探してみるとまだ、ほとんど同じものが新品で販売されていました。スイッチの製品寿命って本当に長いですね。右の写真で右側が外したスイッチ、左側がアマゾンで購入した新品スイッチです。先端のプラスチックの形状は違いますが中身のゴムは同じなので、先端だけ外して入れ替えて装着しました。後で分かりましたが、RSコンポーネンツに先端も全く同じものがありました。

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Lo-D D-99 (その1)

D99front1982年頃発売、当時の定価\99,800。D-99MBはパネルの色が違うだけですが、定価は7,000円高くなっています。同時期にD-9という後継機種があって、ちょうどD-2200MBの上部を切り取ってメーター類を下に押し込んだようなデザイン(個人的には好きですが)でしたが、D-99は多少すっきり、D-909はさらにスッキリした普通(悪く言えばチープなデザイン)のデッキになります。詳しい仕様や系譜は「ろでぃすとの家」様のホームページを御覧ください。

D99inner本機はオクで不動のジャンクで入手、1万円くらいでした。4,5年前に比べれば、倍くらい高くなっていますね。今はちょっとしたカセットテープブームだそうですが、昔カセットとともに青春を過ごされた方々に、少し回顧の時間とお金の余裕が出てきた頃でしょうか。私などはまだまだ働かないと年金も少なく老後が心配です(笑)。さて、中は一連の日立機と代わり映えなく配線がごちゃごちゃしています。

D99frontremovedLo-Dは久しぶりなので、メカの取り出しに少し手間取ってしまいましたが、以前分解したLo-Dデッキの写真を見直して、そうだった、Lo-Dはこれ、フロントパネルでんぐり返し。


D99mechbackremovedメカのモーターを外したところです。立派な巨大ホイールが見えますが、キャプスタンベルト以外のベルトは伸びてヘロヘロに。しかし幸いひどく溶けてはいなかったでの、憂鬱なゴムの除去掃除は楽でした。もちろんキャプスタンベルトも新品に交換します。特に中央の白いアイドラープーリーの角ベルトはサイズに気をつける必要があります。別のLo-Dデッキでも書いた記憶がありますが、このプーリーは他社デッキのように単に回るだけでなく、左右にも振れるからです。

D99mechbackremoved2フライホイールを外したところです。大変立派なソレノイドが3つ並んでいますが、別にヘッドを持ち上げたりするわけではなく、それぞれREW、FF、PAUSEの動作の際にギアの噛合せを変えたり、ブレーキを持ち上げたりするためのものです。もっと小さいソレノイドでもよいように思いますが、スプリングを多用したメカなので力が必要なのかもしれません。最も力を必要とするヘッドを上下する動力はフライホイールから取っています。

D99realremovedリール周りのアッシーです。別のLo-Dデッキでも書きましたが、中央のFF用の大きな歯車(FFギア)は経年で変形(収縮)し、滑らかに回らなくなっているので、軸を外してヤスリ等で穴を大きくします。またLo-D(古いAIWAも)はメカにスプリングを多用しているので、外す際には無くさないように、また付け忘れ(間違い)ないように注意する必要があります。私は写真のように、分解する前に予めスプリングのどちらか一端(外し易くない方)をゴム状接着剤(G17)で固定しました。こうすれば、外してなくしたり付け忘れることはなくなります。とにかくスプリングの数と種類が多いので、この前処理は有用だと思います。ナカミチでは元からそのような修理のことを考えた処理がされています。

D99breake上の写真とは上下が逆ですが、左右のリールのブレーキです。写真では外していますがゴムのパットが爪に固定されており、停止と同時にスプリングで引っ張られて下に降りてリールの回転を止めます。そのゴムが経年で石のようになっていました。触るとボロボロと崩れてきます。要交換です。以前別の機種で劣化したブレーキをそのまま放置して組み上げたところ、停止の度に惰性でテープがひどく弛み、それが原因でテープがキャプスタンに巻き付いたり、テープが折れたりした苦い思い出があります。

D99brake2ゴムを自分で加工することも考えましたが、とにかく物が非常に小さいので、今回、簡単な図面を書いてゴムの加工専門業者で製作することにしました。なかなか個人の注文を請け負ってもらえるところは少ないのですが、ネットで見つけた浜松の業者にお願いしました。写真の左側のパットが今回新しく作ったもので、右側がもともとのゴムパットです。もともとのパットはリールに接触する内側が曲面になっていますが、よく観察すると実際にはそのごく一部しかリールに接触していないことがわかりました。(曲面の意味がない) それでもブレーキとして機能しているのであれば、最初から内側の形状を直線にしてよいのではないと思い、写真のような長方形形状にしました。この方が加工費用が安くなるはずです。実際に加工したものを装着して動作を確認しましたが、ブレーキとして何ら問題ありませんでした。さて加工費用の話が出ましたが、このゴムパット、左右ペアで何と!ジャンクデッキ本体よりも高い値段でした。そんなバカなと思うでしょう。だったら普通の人は断るでしょうが、それでこのデッキがちゃんと直せるのならと、趣味ならお金がかかるのは当たり前でしょうと、清水の舞台から飛び降りる気持ちで今回加工してもらうことにしました。(笑)

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CDP-337ESD

Play30年ほど前、就職で上京し、寮を出てアパートに移った後にすぐに買ったCDプレーヤです。竹内マリアの「駅」という曲が大好きで、それが収録されているアルバム「REQUEST」を寮にいる間に買いましたが、ずっと聞けずに我慢していました。わざわざ秋葉原まで電車で買いに出ました。337ESDは、1987年第3回FMfan ダイナミック大賞CDプレーヤー部門で大賞を受賞していますが、購入した頃は338に切り替わる時期で在庫セール後で売り切れの店が多く、電気屋を探し回った記憶があります。よくもまあこんな重いものを川崎まで持って帰ったものです。さて5,6年前からさすがにトレーの動きが悪くなり、手でトレーを引き出したり、押し込まないとうまく動かないようになりました。またそれとは別に、それまではなかったのですが、音が飛んだりCDを認識しない現象が偶に出るようになりました。あくまでカセットデッキ録音用マスター音源として使用していたので、それほど使用時間は長くないと思いますが、それでも30年も経つとさすがにLDが駄目でしょか。それはさておき、今回は気が向いたのでトレーのベルト交換を行いました。

Innerオーディオブームも終焉を迎えていた1987年ですが、そつなくオーディオ用電解コンデンサーが使われています。ソニーは表示が親切で、色々ネジが見える中で印刻の矢印で示された4箇所のネジを緩めれば、トレーとピックアップブロックが外れます。おっと、CDを入れっぱなしでした。

Bushその際、真ん中の仕切り板にプラスチック製のブッシュがあり、これを外さないとコネクターが引っかかってピックアップブロックが取れません。周囲を接着剤で留められていますが、少し力を入れれば外れます。

Belt2目的の角ベルト2本はピックアップブロックの裏側にあります。ベルトカバーを外し、モーターも取付金具ごと外してしまいます。モーターの取付金具には爪がついており、外しても位置がずれたりする心配はありません。ベルトはだいぶ以前にオークションでセットで購入したと思います。

Belt3トレーの動きが悪くなってからも、まったく動かなくなることはなく、5,6年もとりあえず動いていたということで、ベルトの伸びだけでなく、中央のプーリーに何か付着物が付いて滑っている感じです。プーリーの溝が黄色くなっています。アルコールでよく拭いておきました。

Inner2この茶色い板を貼られているのがDACでしょうか。フィリップスTDA1541ということですが、これならいつの間にかディスコンかコストダウンで、別のDACに変わっていても分かりませんよね。

PickupピックアップはKSS-190A。LDが経年劣化した場合、この可変抵抗をいじるとLD出力が上がり一時的に治るという噂ですが、この抵抗、回路図で見るとLDの電流調節ではなく、PDのゲイン調節のようです。このLDはAPC(Automatic Power Control)駆動なので、PDのゲインを変えることで、間接的にLDの出力を変えることができます。

ベルトを交換したところ、トレーの動きがめちゃくちゃ速くなりました。いや、もともと本機は速いんです。そう言えば思い出しました。CDプレーヤーを買いに行った際に、他の競合機種と比較して、音の違いはよく分かりませんでしたが、337はトレーの動きがずば抜けて俊敏。これを見てしまうと他の機種はたるくて見劣りがしました。今の高級CDデッキと比べても、かなり速いと思います。まあ、でもこれも人の好き好き、ゆっくりの方が高級感があるという方もいらっしゃるでしょう。

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SONY TC-K555ES

555esfront2ソニー往年の中級機です。1982年頃発売、TC-K555、555ES、555ESIIと続きますが、外形が地味なせいでしょうか、オークションではそれほどの人気がありません。本機は不動のジャンクで入手、競争はなく3,000円位だったでしょうか。

555esinnerこの時代のデッキですから中身は詰まっています。左が電源、制御回路基板、右側がオーディオ回路基板になりますが、天板を開けた途端左右とも基板が裏向きなので、ちょっとびっくりすると思います。まるで底板を外したようです。

555esinner2不動ということでしたが、2本のフライホイールベルトが伸びてヘタっていることは上から見てすぐに分かりました。しかしどうもカセットドアの開閉がギクシャクしておかしい。イジェクトを強く押さないと、カセットが出てきません。しかも勢いがなく、途中で止まるような感じです。さて、カセットメカを取り出すためには、左側の基板を外さないといけません。基板の下には写真のようにスゴい数の配線が、しかも線が固くて、基板のネジを外してもなかなか基板が持ち上がりません。

555esinner3右側の基板は2枚重ねです。下が録音回路。上が再生回路です。メカを外す際、再生ヘッドからの配線を外すために、このように右側の基板も持ち上げる必要があります。再生と録音回路の間にはシールドのアルミを貼った紙が挟まれていました。

555espcb録音(上)、再生(下)フラットアンプを全段左右ツインモノ構成とすることで相互干渉を抑え、同時にDCアンプ構成を採用しています。しかし後継機種のようなシンメトリー形状ではありません。再生ヘッドと再生アンプはコンデンサーレスのダイレクトカップリング、再生の入力段OPアンプはJRCの2043DDでした。
555esmechbeforeメカを取り出してみると、なんとカセットボックスの両端のガイドピンが左右とも根本から折れていました。ダンパーがヘタって、ロケットオープンを繰返した結果でしょうか、ピンの先端だけが折れるケースが多いのですが、プラスチックの材料が違うのかもしれません。以前の所有者がねじりコイルばねの先端を器用に曲げて、カセットボックスが飛び出さないようにカセットボックスに引っ掛けていました。まあ、これでも使えないことはないのですが、しのびないので修理することにします。左側に折れた部品の片方が見えます。デッキの底に転がっていました。

555esmechafterガイドの先だけだとどこかのデッキで紹介したように、Φ2mmのアルミの棒で比較的簡単に修理ができるのですが、根本から折れていると大変です。ここにはカセットが開く際、結構力がかかるので、折れた部品を接着しても長く持たないと思います。そこで写真のようにΦ2mmのアルミの棒をUの字に曲げて、ガイドを造りました。折れた部品を参考に同じ高さ、長さにガイドピンが来るにように曲げます。最初思うようにアルミを曲げられず失敗しましたが、いくつか作って良さそうなものを選別しました。アラルダイトで固定し、最後に黒く塗りました。外からは見えないので修理したかどうかまずわからないと思います。

555esmechダイレクトドライブではありませんが、キャプスタン駆動用モーターには、ブラシレスのリニアBSLモーターを採用しています。ヘッドの上下動はソレノイドでガッチャン、音は大きいですが、ベルトが伸びてという不具合は起こりません。ちなみにベルトを交換する際には、まず写真右側の黒いBSLモーターを基板ごとグリっと回して外します。そうしないと基板の下のネジが外せません。

555esswitch_2さて、古いグリスの処理、伸びたベルトを交換してメカの方は修理を終えました。ところが新たなトラブル発見、テープEQ切り替えスイッチのうち、ノーマルとメタルが押せません。押しても固定されず戻ってしまいます。このデッキは自動検出ではなく、再生時もEQをテープに合わせ設定しないと音がおかしくなります。面倒ですがスイッチを基板から外して、分解。やはり内部で爪が折れていました。これはさすがに修理不能、別のデッキから取った部品と交換しました。

555esfinish幸い他に回路のトラブルもなく、無調整で良好な音が出ました。左右のバランスも録音も問題ありません。バイアスを追い込めばソースとの際はかなり小さいと思います。

555esheadクローズドループデュアルキャプスタン、オリジナルの独立懸架型レーザーアモルファスヘッドには少し段差が見えますが、音質にはまだ問題ありません。摩耗の問題がなければ最高のヘッドなのですが。

555esfront_2ジャンクなら1,000円位から、動作品でも5,000円位でしょうか。当時9万円ほどしたES中堅高級機種ですので、内容音質ともに充実した内容です。写真のカウンターがたまたま444になっていますが、555で撮ればよかったですね。

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TRIO KX-800

Kx800front_4最近オークションのジャンクが値上がりし、なかなか欲しい3ヘッド機種が手に入らなくなりました。そこで落としたのが、このトリオのKX-800です。以前からたまに見かけましたが、70年台の古い機種(ロジックコントロールじゃない)であることから、敬遠していました。本機は不動のジャンクで外観も綺麗だったので入札、1000円で競争はありませんでした。

Kx800inner外観のデザインは70年台らしくなくスッキリしていて好感が持てますが、中身も3ヘッドなのにかなりスッキリしています。左が電源回路、右が録音再生回路基板です。モニター回路が無いためでしょうか。メカもコンパクトでメンテ性は良さそう、と思ったのが大間違いでした。

不具合のメカはシングルキャプスタンですが非常にコンパクトにまとまっています。いくつかベルトが切れているのがわかります。

Kx800mechaunder写真の上ですが、カセットボックスのダンパーは風車式でした。この時代のもので懐かしい。またメカの下から何やらワイヤーが電源基板の下を這って録音再生回路基板に繋がっています。これは録音と再生の回路(自動)切り替え用です。ナカミチのLX-3にもありました。

Kx800mechaunder2ベルトを交換するためにメカを外します。メカはフロントシャーシに固定されているのですが、後ろに電源基板が迫っているため、ネジを外しても取り外せません。電源基板を外してもあまりスペースが出来ず、結局フロントパネルを全て外しました。しかしネジをとっても色々引っかかってなかなかメカが外れませんでした。 メカはピアノ式ではなく、メカニカルロジックという方式で、フライホイールの動力を利用して軽いタッチで操作ができるということです。しかし基本はメカなので、結構部品が込み入った巧妙な作りです。

Kx800mechaoutメカが外れたのは良かったのですが、ここからが大変でした。切れたベルトを交換したいのですが、ほとんどの機種ではメカの後ろ側から、カバーを外してやればよいのです。しかし、このKX-800のメカはそれを外すためには、これを。これを外すためには、さらにこれをと、結局前面のカセットボックスから全部バラバラにしないといけないのです。何というメンテを無視した作りの悪さでしょうか。これまでの経験の中でも、五本の指に入るメンテ性の悪さです。

Kx800mechafrontワンモーターで全ての動作を行うために、非常に凝ったメカになっています。早送り巻き戻しは中央の2つの黒いプーリーで、再生時は右のリールの右上に見える小さな金属製のローラーがリールに接触してテープを巻き上げます。

Kx800mechainner_2メカ裏側でフライホイールを外したところです。中央の白く大きな歯車がフライホイールと噛み合って回転し、ヘッドの上げ下げをします。その手前に見えるゴムが巻かれた白いタイヤは、リールの早送り、巻き戻し。右側の2つの白いプーリーは左が再生時のリール回転用、右側のプーリーはダミーで、左側のプーリーの回転をフライホイールに対して反転させるためのものです。右側最も手前の小さなプーリーと左隅のプーリーはカウンター用です。

Kx800mechafinベルト交換後です。交換後は問題なく動作するようになりました。

Kx800headコンビネーションヘッドです。美しい光沢のフェライト&フェライトで、摩耗も殆ど感じられません。消去ヘットもフェライトのダブルギャップです。

Kx800frontleft_31979年頃発売。電子制御DCサーボモータ、フライホイールの回転力を利用したメカニカルロジックコントロールで軽い感覚でボタン操作ができますが、メカニカルゆえ押してから動作が始まるまでに、ガチャガチャと音がして少し時間がかかります。それがまた時代を感じさせて悪くありません。

Kx800frontrightジャンクなら1000円位から、完動美品でも5000円程度でしょう。音はややレンジが狭い感はありました。

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TANDBERG TCD 3014 (その2)

3014inner 「ドラゴンキラー」と呼ばれているTCD 3014(Aじゃないけど)の修理続きです。中身はこんな感じです。やはり日本製のデッキとは雰囲気が少し違います。高さもあるので基板が縦横に整然と並んでおり、まるでパソコンみたいです。左上の開いているスペースにはオプションのリモコン用の基板が刺さるのだと思います。ただRevox B215のような異次元の中身に比べると、使われている電子部品に何となく親しみが・・・いや、よく見ると電解コンデンサーはELNAでした。他にも日本製部品が多く使われているようです。

3014inner2 例えばこのシステム基板ですが、制御用のマイクロプロセッサーはNEC製でした。プログラムは写真で白いラベルの貼られたEPROMに書き込まれています。しかし以前紹介したNADやHarman/Kardonとは違い、生産も日本でというわけではなく、部品だけ輸入していたようです。ドラゴンキラーが実は中身の部品がかなり日本製とは驚きですが、当時の日本の技術力の高さ(安さ?)を物語っています。また日本で修理するならば日本製部品が多い方がはるかに修理はし易いです。

3014head さて、TCD 3014の特徴的なヘッド周りです。完全ディスクリート3ヘッド構成。写真では分かりにくいですが消去ヘッドが左のキャプスタンの外側(左側)に配置しています。通常の消去ヘッドのある位置にあるのは録音ヘッドです。メーカー、型名は忘れましたが日本製でもかなり古い機種で同じようなヘッド配置のデッキがありました。消去ヘッドを外に追い出すことで録音、再生ヘッドのテープとのタッチを余裕を持って確保でき、また電気的なクロストークを減らせるでしょうか。

3014bottom 不動のジャンクということですので、取りあえずメカを外します。ところがここで大きな問題が。メカを外すには前面側の底のネジを外すのですが、写真のように6角のネジが細い溝の底に付いていて、手持ちのレンチが入りません。しかもこれインチサイズです。先端の肉の薄いレンチを探しますが、ネットでもなかなか良い物が見つかりません。100円ショップで買ってきたレンチを無理矢理溝に押し込んで回したところ、レンチの軸がポッキリが折れました。さすが100円品質。結局オークションで見つけた結構高価な(でも1,000円くらい)レンチで、ぎりぎりでしたが無事回せました。これで1ヶ月ほど時間が潰れました。

3014mechafront 外したメカ前面です。初めて見る構造ですが結構シンプルです。左右リールはベルトで繋がった別々のモーターで駆動するので、アイドラーはありません。右のリールはさらに別のベルトで、羽の付いたカウンターに繋がっています。

3014belt 上部のカセット押さえ兼テープ検出機構を外した所です。白い異形の部品が回転してヘッドの上げ下げをやるようです。固着はしていませんでしたが古いグリスがべったり付いています。また写真でも分かるようにこれらのベルトは経年でヒビが入りボロボロ、今にも切れそうです。

3014mecharear3メカ背面です。左右のリール専用モーターとキャプスタン駆動用FGサーボモーター、ヘッド駆動用のカムモーターの4モーター構成。ドラゴンのような高精度なダイレクトドライブではありませんが、シンプルでそつのない作りです。FF用とカムモーターは同じ物ですが、Rev用の赤いモーター(右上)は強力そうで、ブラシの部分に窓が開いていて、接点のメンテが出来るようになっています。

3014mecharear2 フライホイールの大変丈夫そうなダイキャスト製のカバーを取ったところです。左右のフライホイールとも特大です。左右を結ぶゴムベルトは経年で切れていました。写真右側のフライホイールの右側に一部見えているのは録音ヘッドのアジマスをマニュアルで調整するためのベルトです。

3014recordheadajimus このベルトは滑り止めの歯付きで写真のように見るも哀れに劣化していました。角ベルトや平ベルトは何とかなるものの、さすがに歯付きで所望の幅、長さのベルトを入手するのは困難に思えましたが、テキサスにあるナカミチ用のベルトを主に取り扱っているMarrs Communications Inc からベルト一式取り寄せることが出来ました。

3014pinchroller さらに本機は左右のピンチローラーが完全に固着していましたので、得意のハンダごてで加熱、分解、洗浄、再組み立てを行いました。不動の原因としてはフライホイールベルト切れと、左右のピンチローラー固着が主だと思います。ちなみにアジマス調整用のツマミも完全に固着していましたので、同じようにハンダごてで処理しました。

3014recordheadajimus2 録音ヘッドのアジマス調整用ネジの動きを確認します。購入した歯付きベルトがやや緩いような気がしますが、歯のお陰で滑ることもなく、ちゃんと動作しました。録音ヘッドのアジマスがパネルからツマミで微調できるのはZX-7/9とおなじですが、こちらの方がネジで押す方式で直接的ですね。

3014meter もう一つ不具合があったのがメーターです。写真の一番左のように電源入れる前から振り切れていました。メーターのメカ的な不具合です。この種のメーターはラジケータと言われる簡易的なもので、VUメーターとは構造も精度も違います。VUメーターの方が大きくて値段も高い。しかしラジケータをVUメーターと呼んでいるケースも多く見かけます。さて、ラジケータの裏から軸を止めているネジを少し緩めた所、0に戻りました。軸の固着でしょうか。

3014front さて記事に写真はありませんが、メカは細部まで完全に分解して古いグリスをすべて拭きとり、SuperLubeを塗っておきました。慎重にメカを組み立てて本体に戻し動作を確認します。ドキドキでしたがメカは無事動作しました。カセットをセットし、Setを押すとカセットが左右2本のバーでしっかりロックされて、カウンターに「CAL」と表示され、勝手に巻き戻しが始まります。最後まで巻き取ると、こんどは勝手に再生モードになり、しばらくしてまた巻き戻し。最後まで巻き終わるとカウンターが0になり止まりました。何をやっているのでしょうか?いつかオーナーズマニュアルを入手しなければ。動作の印象ですが専用モーターでアイドラーを介さないこともあり、巻き戻し巻き送りが静かで超速い!再生の音質も上々だと思いました。しかし残念なことに本機は録音が出来ませんでした。315/13kHzのキャリブレーション信号も出ないようです。回路にも不具合がありました。またメーターも0のまま、ほとんど動かない状態です。再生音は普通に出ているのですが。ドラゴンキラー復活の道は遠いです。

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SONY TC-K777(後編)

777relay メカの次は回路です。せっかく名機が手に入ったわけですから、本来の性能に少しでも近づけるために、入手交換可能な劣化部品は交換します。まずは定番のリレー交換。録音再生基板に2個、出力基板に1個あります。特に出力基板は音楽信号がリレー内を直に流れるので、接触不良は避けたいです。写真右側の黒い方が新しいものです。

777volume 次はスイッチ、ボリュームです。信号が流れるテープ/ソース切り替えスイッチ(写真左)の分解、接点清掃は是非やっておきたいです。写真中は出力ボリュームですが、多段のアッテネーター式になっています。ここまで音質にこだわる高級機は少ないです。写真右は録音ボリュームですが、アルプスのデテントかと思いきやNOBLEのオーディオ用ボリュームでした。写真のように分解したものの、これは・・・何か構造が凄そうなので下手に触らない方が良いと思い、そのままそっと元に戻しました。 結局ガリもなかったような気がします。

777trans さてソニーの高級機に象徴的な、本体から飛び出しているトランス、メンテするつもりはありませんが、ちょっと興味が湧いて中を開けてみました。カットコアトランスです。777のトランスケースが細長いのはこのせいだったんですね。

7774560dd フィルターやヘッドフォン回路にはアンプとしてJRCのNJM4560Dが使われていますが、いずれも経年で足がまっ黒くなっており、気になりましたので交換しました。どうせならと言うことで4560DDに交換、ささやかな低ノイズ化です。また今回は思い切って機内のすべての電解コンデンサーを新品に交換しました。というのもこの写真でも分かるようにいつくかのコンデンサーが経年で液漏れを起こしていたからです。外観では分からず、容量もほとんど変わらないので、このように取り外してみないと判別は難しいのですが、放っておくと周囲のプリント基板の回路が腐食、断線します。

777inner2_2 全コンデンサーの交換はかなりの出費と大変な手間ですが、製造から30年以上も経ちますので、さすがにどのコンデンサーも寿命が近い(故障率が高くなっている)と思います。これから少しでも長く性能を維持してゆくためには、電解コンデンサーの全交換は避けられない作業でしょう。幸い日本ブランドのオーディオ用電解コンデンサーも今は製造が中国になって、値段も思いの外安かったです。光沢緑のMuseが映えますね。

777resistance2さらにそれほど数はありませんが各基板に使われているヒューズ抵抗(足を長く空中に飛び出して固定されているのですぐ分かります)も交換しておきます。ヒューズ抵抗は経年劣化で過電流が流れなくても突然切れます。必ず抵抗値と電力を交換前にピッタリ合わせます。写真右の上段が交換前のものです。また合わせてON抵抗が高くなっていた大型のタクトスイッチも交換しました。写真左端に見えるスイッチは今でも同型の新品が購入できます。

777resistance これはよく問題になるサーボ基板ですが、案の定、裸の半固定抵抗がみんな経年の腐食で真っ黒でした(写真左)。そこで右のようにすべて密閉型の新品に交換しました。ここまで酷いと交換前ではDDモーターがまともに動かなかったと思います。実際交換する際に交換後の抵抗の値を合わせるために、外した抵抗の値をテスターで測定したのですが、高抵抗でほとんど断線したようなものもありました。さて写真の赤矢印で示した抵抗ですが、外観は半固定抵抗と全く同じですが、機能は単なるスイッチです。他の方の記事にも紹介されています。

777switch2 本体には「SW」としか書かれておらず、回路図にも通常のスイッチとして書かれています。分解してみると、右のように確かに抵抗部が無く、単なるスイッチです。そう言えば本ブログの別機種のコメント欄に以前寄せられた777ESの調整方法についての質問について、何方から回答の書き込みがありましたが、このスイッチの代替として、少し高めの抵抗値の半固定抵抗を入れて、左右に回し切ってやればよいということでした。それでもスイッチとして機能はするのだと思います。しかし今回は上の右の赤矢印のように小型のスイッチを組み込みました。このスイッチは後でDDモーターの調整時に使います。

777cal15 さて、HiFi Engine様から無償でダウンロードしたサービスマニュアル(英文)に従い、調整を行います。なお777のDDモーターの調整はオシロが無いと出来ません。オシロがないと、入手して運良く動かなければ、お手上げかもしれません。今回は半固定抵抗をすべて交換したので、ゼロから調整します。まずはリニアカウンターでテープスピードを検出する各リールのヘッド(ホール素子)の回路調整です。写真のように早送り、巻き戻し時に、それぞれICからの方形波出力の山と谷の時間間隔が同じになるようにシステムコントロール基板の半固定抵抗を調整します。

777cal2 次にサーボ基板でDDモーターの調整をします。先ほどのスイッチをDC側(写真だと左側)に倒し、ゲインとオフセットの調整をします(写真左端)。その後スイッチを反対側のサーボ側に倒し、方形波の山と谷の時間間隔が1:10になるように半固定抵抗を調整します(左から2番目)。実はこれはかなり敏感な調整で大変でした。失敗するとDDモーターが止まってしまったような気がします。なおクォーツロックなので基本的にテープスピードの調整はありません。さらにサーボ基板で今度はリールモーターの調整をします。テストポイントで48~52Hz(3番目)、さらに別のポイントで140~144Hz(写真右端)になるように半固定抵抗を調節します。

777meter テープパス、アジマス、録音再生回路の調整を行い、さらにキャリブレーション、バイアスの調整を終えた後、録音試聴のためにキャリブレーションを行っている様子です 。

777front2 音は予想通りというか、もうテープとソースの差は私には分かりません。DolbyはBタイプだけなので、確かに再生音には曲間でヒスノイズが乗るのですが、曲が始まれば切り替えスイッチを操作してもどちらがテープか判断がつきませんでした。さすがと言う感じです。電解コンデンサーをすべて交換したので、多少エージングで音が変わるかもしれませんが、変わっても自信を持って私の耳では分からないと思います。最近、オークションで中古カセットデッキの取引値段がソニーのESシリーズを中心にかなり高くなっていますが、これもアベノミクスでしょうか。今ならジャンクなら7,000円くらいから、完動美品なら2万円くらいでしょうか。それでも当時の定価と性能を考えれば、まだ安いのかも知れません。でも、この時代カセットテープ・・・本当に使っています?。

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SONY TC-K777(前編)

777front 私はESII世代なので、777は当時あまり印象がなかったのですが、この趣味を始めてからはやはり777の元祖ということで気になっていました。シルバーのデッキというと古くさいイメージがありますが、今見ると決して悪くありません。特に録音ボリュームの周囲の赤い目盛りが良いですね。777もESから黒に変わりました。昔のデッキはシルバーが多かったのですが、プロ用機器が機能重視で黒かったのを真似たのでしょうか、また黒い塗装の方がコスト的にも安かったのかも知れません。また木目のサイドボードとの相性では、シルバーより黒の方が高級感があると思います。

777inner 本機はオークションで不動のジャンクで入手、8000円ぐらいだったと思います。ホコリだらけですが中は一見して以前紹介したESIIと似ています。確かにメカはほぼ同じようですが、部品の配置など回路の構成はだいぶ違うようです。777ESはまだ見たことがありませんが、この777の回路も十分にオーディオ用部品が多用されており、ESから特別ハイグレードになったと言うことではないと思います。定価は2万円も高くなっていますが。

777input 録音回路ですが、見慣れない四角い大きな部品がありました。これは左右の録音バイアス量を微調する可変コンデンサーです。録音時のF特がフラットになるように調節します。もちろん録音再生回路は共にDCアンプです。

777switchs 掃除前で薄汚れていますが、これらのアルミ製ツマミ一つとっても最高級機の質感が分かります。777は単に音が良いだけではなく、ソニーデッキの頂点として使われているすべての部品が最高でなければいけなかったわけです。このインテリアとしても所有する喜びが、777ESIIより後のデッキでは大幅に削られています。

777ddmotor まずはメカから手を入れていきます。ESIIとほぼ同じなので以前のように分解手順で戸惑うことはありません。もちろんデュアルキャプスタン、クォーツロックダイレクトドライブです。

777mecha この世代になるとベルト交換だけではなく、グリス固着を避けるためにメカを完全に分解して、すべての古いグリスを拭き取り、新しいものに交換する必要があります。やり甲斐はありますが、かなり手間のかかる面倒な作業です。メカの駆動は写真右側に隠れた2つのソレノイドです。サイレントメカではありませんが、応答は速いです。また経年によるモーターやベルトのトラブルは皆無です。

777idoler2 本機のメカの信頼性上のもう一つのネックは2つのアイドラーのゴムです。メカ中央がテープの巻き戻し/早送り用のアイドラー、右側のリール外側に見えるのが再生時専用のアイドラーです。いずれもBSLグリーンモーターから動力を取っています。経路を分けているのは、おそらく安定動作の点で負荷トルクを下げ、且つモーターにある程度以上の回転数を保ってやる必要があるのでしょう。もう経年で石の様に固くなり、ヤスリで表面を微少研磨という方法も難しいと思います。

777idoler1 今回も交換用のアイドラーゴムにゴム通様のお世話になりました。共に厚み1.5mmのものを2つ並べて装着しています。動作もバッチリです。再生専用アイドラーはグリーンモーターとベルトで直結して、停止時以外は常に回転しており、再生時以外は浮いて空回りしています。この動きは先ほどのソレノイドで制御、切り替えていますが、リールとの浮きの間隔は1mmほどでかなり近いです。(空回りには十分な距離ですが) 従って交換する際、アイドラーゴムの厚みには注意する必要があります。業者さんでは透明なシリコンゴムを使っているようなものも見かけますが、機械強度や耐摩耗性は大丈夫でしょうか。

777head 本機自慢のセンダスト&フェライトヘッド、個人的に大好きです。当時なら相当酷使されているはずなのでが、周囲に錆はあるものの摩耗はあまり見られません。これからどんな音楽が聞けるのか楽しみです。実はこれから先が長かったのですが。(後編に続く)

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