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2011年10月

TANDBERG TCD 3014

3014_front 日本ではまず名前すら聞くことはありませんが、ネットで検索すれば無数にヒットします。英語なので読む気がしませんが。欧米では”ドラゴンキラー”と呼ばれているカセットデッキです。ドラゴンとはもちろん日本のナカミチのデッキのことです。欧米でも日本同様、ナカミチの人気は絶大なものがありますが、このタンバーグのデッキは一部のマニアの間で熱烈な支持があります。まあドラゴンキラーと言っているのも、そんなマニアの間だけかも知れませんが、当方カセットデッキ研究所と名乗る以上、海外製品でも名機なら入手してみないわけにはまいりません。それにしても実際入手は困難を極めました。e-bayで入手しましたが、探し始めて2年以上かかりました。とにかくオークションでも数ヶ月に1台しか出ませんし、出ても値段が跳ね上がるものですから。写真はすいません、修理中のものです。いまだに修理が完了していないので。完全体の写真は他のサイトで見てください。

諦めてほとんど忘れかけていた矢先、たまたまe-bayに1台の3014のジャンクが出ているのを見つけました。アメリカからでしたが、不動のジャンクで比較的高額な開始価格、しかもアメリカ国内にしか発送しないという条件が付いていたためでしょうか、なかなか入札がありません。しばらくウオッチしていましたが、ダメもとで出品者に即決価格で落札するから日本に送ってくれと尋ねた所、快くOKがもらえました。$600程度だったと思います。当時は今に比べるとかなり円安でしたから高額ですね。さらに送料が1万円以上かかりました。

タンバーグはノルウェーのオスロに本社を持つ会社で、オーディオからは撤退していますが、今でも健在でビデオ会議システムではかなりのシェアを持つ会社のようです。日本にも現地法人があります。最近シスコに買収され、グループ企業になったようです。ウィッキペデアによれば、タンバーグは1933年にノルウェーのエンジニアだったタンバーグ氏によってオスロにラジオ工場として創立、50年代からはテープレコーダーの生産を始めます。当時としては画期的だったテープスピードの3段階切り替えや、クロスフィールドヘッドの発明によって、テープ録音の高周波特性や忠実性を大幅に改善しました。この技術はライセンスとして60年代以降のアカイのオープンに採用されています。そして70~80年にかけても、いつくか画期的な技術を開発し、オープンやカセットデッキの高級機種を製造販売していました。また60年代からはテレビの生産も開始しており、70年代中盤には、テレビを主力製品としてしてタンバーグは一躍大企業となりました。しかし70年も後半にはいると急激な景気の後退で不採算となり、78年にはタンバーグ氏は株主に解任され8月に自殺、そして12月には、ついに会社は一度倒産してしまいます。倒産後、3つの会社(テレビ、テープストレージ、ラジオ)に分割され、現在に至っていると言うことです。

910_front  TCD 3014は80年代前半の製品で、倒産後のタンバーグをHiFiテープデッキメーカーとして一躍有名にしたという機種ですが、他に人気のある機種(3ヘッド機)としては70年代のレトロなTCD 440A、放送局用でキャノンコネクター(XLRコネクター)を持つ外観は3014にそっくりなTCD 910(写真)があります。

3014a_front_2しかし一番人気があり、私も本当に欲しかったのは写真のTCD 3014Aです。これは3014の高級版でコンデンサーだけが違うという話です。ノブの色も違うようですが。ヤマハのK-1xwみたいなものですが、この3014Aが、この世で最高のカセットデッキという書き込みも結構見かけます。支持する理由としては、一様に音の色づけが少なくて原音に忠実という意見が多いようです。

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SONY TC-K333ESG

Front 86年発売のESXで劇的な変化を遂げたソニーのESシリーズですが、この89年発売のESGで再び大きく変化しました。前年のESRから、すべてがリファインされたと言って良いと思います。特にメカのパワーローディング機構と、再生回路のGIC型フィルターの採用が大きいと思います。そしてこのESGをもってソニーのESシリーズは、メカ、回路とも最終型として完成され、これ以降もESL、ESA、ESJと毎年モデルチェンジされてゆきますが、機能と中身の音質的には大きな違いはないように思います。もちろんバイアスキャリブレーション機能付き。このことは兄弟間でも同じで、特に333と555は銅メッキシャーシ以外に、パッと見でも中身の違いが分かりません。まあ、値段もあまり差がありませんが。

Inner 本機はカセットドアが閉まらないというジャンクで入手、ドアが閉まってもすぐ自然に開いてしまうと言うものです。当然再生は不能。ESシリーズでは珍しい故障の症状だったせいか、敬遠されて競争なく1,000円ほどで落札できました。現物でチェックすると確かにカセットドアは一旦完全に閉まりますが、ほどなくゆっくりと音もなく開いてしまいます。どの操作ボタンを押しても同じようにカセットが閉じ、そしてゆっくり開くを繰り返すだけです。カセットドアが取りあえず閉まると言うことは、ESシリーズでよく不具合の原因となるカムベルトの伸びや滑りが原因ではないと言うことが分かります。実際メカを取り出してみても、カムベルトに異常はありませんでした。

Mechabackinner カセットドアが閉まると、通常は爪が掛かり開かなくなるはずですが、動作音から爪が降りている気配がありません。そうすると後は、デッキがカセットが閉まっているという検知が出来ていないということです。カセットドアが閉まったことを検出する小型スイッチは赤丸のこれです。基板にCLOSEと書かれています。どうもスイッチの回路パターンがハンダの付け根で断線しているようです。

Mechabackinnerbefore これは裏側ですが、回路だけではなく、スイッチそのものが大きくひん曲がっていました。どうしてこんなことになったのでしょうか、これではドアのクローズを検出できません。一旦スイッチを外して分解し、ひん曲がった金属製のシャーシを整形して付け直しました。合わせて切れていた回路パターンも修正しました。

Mechabackinnerafter カムベルトの交換で手抜きをせず、左右のピンチローラーを外して、ここまで分解された方は分かると思いますが、基板側をメカ側に合わせる際、カム等の位置を指定のマークに合わせても、そのままではうまく入ってくれません。先ほどひん曲がっていたカセットドアのCLOSEのスイッチの細長いボタンを、写真のように横からマイナスドライバー等で押し込んで、ギアの壁に当たるように入れ込んでやらないといけません。これをやらず無理矢理押し込んでネジ止めすると、スイッチがひん曲がることになります。

Volumes ガリがあると分かって後から処理するのは面倒なので、ついでにボリューム類もケイグで処理しておきます。写真のようにフロントシャーシを外してやれば、一度に処理が出来ます。シャーシの腐食がとても見難いですが、ESシリーズではこの程度は普通です。

Ddmotor DDモーター基板の2個の実装型電解コンデンサーですが、やはり液漏れの兆候が見られたため、交換しました。たまたま余っていたので、ちょっと大型のコンデンサーですが、333だと送り側フライホイールの後ろにかなりスペースがあるので、写真のように余裕で取り付けられます。

Front2 さて修理したメカを組み付けてテストした所、ドアもちゃんと閉まり、テープを再生できるようになりました。ところがしばらく動かしていると、時々操作開始時ガシャンと中から異音がします。よく見ていると左右のリールの巻き取りがワンテンポ遅れて回転を始めるようです。通常だとアイドラーの滑りが原因と考えられますが、本機はギアタイプなので滑ることは考えられません。しかしアイドラーに不具合があることは間違いありません。

Idler アイドラーを外してみると、ギアの回転が軽い。軽すぎです。ギアの回転が軽すぎると、その場で回転してしまい、リールまで動力が伝わりません。適度の重さ、抵抗が必要です。そこでアイドラーを分解します。このアイドラーは金属軸を黒い本体から引き抜いて分解します。通常のアイドラーのようにワッシャーを先に外そうとしても、絶対外れませんので注意が必要です。まあ軸をよく見れば分かります。アイドラー本体とギアの間(左赤矢印)にはベットリ液体は付いていますが、これで正常だと思います。というのはここはプラスチック同士が接触しており、ギア側は常時高速で回転しますから、間に何らかの潤滑剤がないと異音がしたり、すぐに摩耗すると思います。ではどうやって抵抗を出すかというと、Y型の板バネ(右赤矢印)で押しつけているからです。この板バネが経年で弱る(変形する)と、抵抗が落ちます。実際外したものは癖が付いて反り返っていました。板バネをまっすぐに修正しても良いのですが、今回は手抜きでひっくり返して装着しました。これでギアの回転が適度に固くなりました。装着するとバッチリです。異音やリールの回転の遅れが解消しました。

Head ヘッドはLC-OFCレーザーアモルファスヘッド。摩耗も少なく、音質も良好でした。サイドウッドの質がESAやESJにくらべ安っぽいですが、音は変わらないと思います。ジャンクなら1,000円ぐらいから、完動美品となると5,000円を超えることもあるようです。

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