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TEAC R-919X

R919front 1983年頃発売された当時のTEACの最上級3ヘッドオートリバース機R-919Xです。当時の定価89,800円。外観はすでに紹介したV-970Xとほとんど同じ、ロゴを見ないとすぐにはわからないくらいです。外観上の違いはリバースモード切り替えのボタンが1つ増えたぐらいです。

R919inner 本機はオークションで不動のジャンクで入手、外観写真もきれいでしたが、100円で落札できました。もちろん現物もきれいで、密閉構造のため中にも埃がほとんどなくオリジナルの状態でした。外観だけでなく中身もV-970Xと似ているというか、プリント基板などは同一で、部品の配置だけが一部異なります。

R919mechafront メカ部もヘッド周辺以外そっくり同じです。V-970Xもそうですがこのメカ部、正面から見ると、ひらけ!ポンキッキのガチャピンの顔に似ていると思いませんか。(^^; キャプスタン、ピンチローラが左右にありますが、クローズドループではなく、再生方向に応じてどちらか片方のピンチローラが交互に上がります。3ヘッドデッキですが動作時にはシングルキャプスタンとなります。

R919leal もちろんV-970Xとの違いもあります。オートリバースゆえ、リールのバックテンションコントロール用の電磁式ヒステリシスカップリングが左右両方のリールに内蔵されています。特に本機はシングルキャプスタンなのでバックテンションのコントロールはテープのヘッドタッチに有用に働くと思います。念のため左右のリールを外して軸にグリスを塗布します。

R919mechaback メカ部背面です。ここでもパッと見、V-970Xとの違いはないようですが、決定的に違うのはモーターの回転方向でしょう。V-970XではSankyo製のSHL-2Lで反時計回り(CCW)、本機はマブチ製で時計回り(CW)です。回転数は同じ2400rpmになっています。写真のように2本のベルトは経年劣化で朽ち果てて溶け切れていました。平ベルトも切れてしまっているので、オリジナルの状態はわかりませんが、本機はオートリバース機なのでフライホイールの平ベルトの経路をV-970Xと同じように掛けてはいけません。左右のフライホイールがそれぞれ逆方向に回るように掛けます。

R919belt具体的にはベルトは写真で右側のフライホイールに一周掛け、左側のフライホイールにはベルトの外側の面が一部接触するように掛けます。こうすることで正面から見て左側(写真右側)のフライホイールはモーターと同じ時計回り、正面から見て右側のフライホイールは反時計回りに回転し、ます。

R919head ハードパーマロイコンビネーションヘッドによる3ヘッド構成、写真のように消去ヘッドを左右に2個装備し(4ヘッド?)双方向で録音が出来ます。またA.R.H.S.と名付けた回転機構により高精度なリバース動作を実現しています。ヘッドの手前に見える3つのギア(トリプルギア)は調整用ですが、ヘッドの高さ(たぶん写真で奥行き方向の位置)を調整することができるようです。ナカミチのヘッドのマウントベースにもよく似たギアが付いていますね。

R919frontright_2 ドルビーB/C HX PRO、dbxまで搭載、DCアンプ構成。再生時の音質ですが、低域から高域までレンジ感が広く、癖のない聴きやすいサウンドです。また双方向でもアジマスの変化は極小で、音やレベルの変化も気になりませんでした。本機は録音時にL/R独立にバイアスとレベルをマニュアルでキャリブレーションすることができますが、バイアスを追い込むことでソースとの差もかなり少ないと思いました。オークションでジャンクなら1,000円ぐらいから、完動美品となると10,000円を超えることもあるようです。TEACはこのR-919Xが発売された翌年84年、フラッグシップとしてR-999Xというモンスターマシーン(定価149,000円)を発売しています。オークションでもなかなかお目にかかりませんが、4つのDDモーターでリールとキャプスタンを駆動し、しかもオートリバースと、まさに究極のメカを持つカセットデッキです。チャンスがあれば是非音を聴いてみたいと思います。

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音楽」カテゴリの記事

コメント

初めまして。
貴記事を興味深く拝見致しております。

オークションでまずまず程度の良いR-919Xを見つけたので、そこそこの価格で落札しました。拙ブログに簡単な電源のメンテ記事を載せましたので、宜しければ覗いてみて下さい。

貴HPをリンクさせて頂きました。今後共、宜しくお願い申し上げます。

投稿: Kapell | 2009年5月16日 (土) 15時22分

Kapellさま
こちらこそ初めまして。

音楽のソフトとハード、バランスの取れたとても素敵なブログですね。通りでアクセス数も多いはずです。リンクしていただき光栄です。
さて、R-919Xも音のよいデッキですが、これだけ年代が経つとコンデンサーが液漏れしているのか、防震用にもともと塗布された接着剤が変色しているだけなのか、区別が付きませんね。しかも接着剤も古くなると水分を含んで周囲の配線を腐食するので、取り除いておくのはよいと思います。

投稿: 所長 | 2009年5月16日 (土) 15時43分

畏れ入ります。
R-919Xですが、なるほどコンデンサーの液漏れだけと思っていたのですが、防振用の接着剤も存在していたのですね。見たところ、液漏れで防振用接着剤も溶け出して、他の部品にまで及んだ模様です。コンデンサーは、とても軽くてスカスカ状態になっていました。

ところで、R-919Xの順方向再生からリバース・反転再生に入る直前、巻き取り側(左側)のリールの回転が止まってしまい、テープがたるんでガチャガチャとメカ音が何度もして再生動作に移りません。ベルト関係は新品に交換済とのことでしたので、周辺をクリーニングしたら直りますでしょうか?対処法をお教え頂けましたら幸いです。

投稿: Kapell | 2009年5月17日 (日) 09時31分

Kapellさま
メカ後部上方の左側にベルトの掛かった白い大きなギアが見えると思います。反転再生の際にギアが最初回転する方向に、指で少しギアを回して回転を助けてやってください。それで正常に反転再生するようであれば、ベルトの滑りです。ベルトが本当に新品かつ適正なサイズであれば、接触部分のクリーニングだけで直ると思います。

投稿: 所長 | 2009年5月17日 (日) 10時47分

アドバイス、有難うございます。
その白い大きなギアをクリーニングしたのですが、逆に順方向でも再生出来なくなってしまいました。カセット挿入口を開けたまま、ギア(プーリー)を廻してクリーニングしたせいか、メカに何か負荷が掛かってしまった模様です。
>反転再生の際にギアが最初回転する方向に、指で少しギアを回して回転を助けてやってください。
反転再生どころか順方向再生も儘なりませんが、プレイ・ボタンを押してから、その通り回転を助けてやると順方向の再生が出来ます。逆方向も同様です。
ベルトは弾力・張りもあり、恐らく適度なテンションでモーターとプーリーに掛かっている状態だと思われます。スリップしている様子は見受けられません。
これは参りました・・・却って壊してしまいました。ヘッドをテープに押し付ける前で止まってしまうため、再生出来ない状態です。メカを分解しないと直りそうもないですね。ご面倒掛けてすみませんが、ご教示頂けませんでしょうか?

投稿: Kapell | 2009年5月17日 (日) 14時29分

Kapellさま、
白いギアを回すと動作すると言うことは、メカ自体は大丈夫なようです。ベルトのスリップではないとすると、モーターが途中で止まってしまうことが問題です。(モーターのうなり音などは聞こえませんよねえ) 白いギアの下に黒い大きなギアがつながっていますが、これにはいろいろな凹凸が刻まれていて、ヘッドなどを動かすメカの心臓部になります。黒いギアの軸部分に回転を検出する簡単なスイッチ機構があります。そこの接触不良か、位相の大きなズレ、メカの噛み違い、あるいは先ほど心配されたようなドア周辺部のリレーの接触不良(ドア左側のすぐ下)などが疑われます。単純で丈夫な機構ゆえ、簡単に壊れることは少ないと思いますが、ご検討ください。

投稿: 所長 | 2009年5月17日 (日) 16時28分

アドバイス、有難うございます。
いずれにしても、メカ部分を分解しないといけません。コストは掛かるでしょうが、気に入った機種なのでメーカーでの修理を考えています。僭越ながら、所長様のところで見て頂くことは可能でしょうか?

投稿: Kapell | 2009年5月17日 (日) 18時05分

Kapellさま、
残念ながら私には人様から修理をお受けするほどの技術力も設備もありません。(でもオークションでは修理品を売っているではないかと言われてしまいますが(^^;)それにKapellさまのように非常に研ぎ澄まされた聴覚をお持ちの方には、正しいメーカー修理、調整以外、あり無いと思います。お金は多少かかるでしょうが、結果的には保証も付き、その方が安上がりでしょう。特にオートリバースの場合、アジマスの調整が素人には難関です。

投稿: 所長 | 2009年5月17日 (日) 18時41分

それでは、メーカーに全体のメンテを兼ねて修理に出します。ご丁寧にいろいろとアドバイス頂きまして、本当に有難うございました。

投稿: Kapell | 2009年5月17日 (日) 18時54分

TEAC純正のメンテを受けて、昨日、戻って参りました。ベルトの交換と各部調整・注油・清掃で送料を入れて7千円ほどでした。オークションの売り手は、ベルトを新品に替えたとのことで見た目もちゃんとしていましたが、ベルトの張力が弱かった模様です。出費になりましたが、この機種は気に入っているので大事に使いたいと思っております♪

投稿: Kapell | 2009年5月30日 (土) 19時16分

初めまして
R-919Xで検索していたら、ここにたどりついたものです
質問なのですが、R-919Xのフロントパネルが外れなくて困っております
まわりのネジを全て外したのですが、まだどこかくっついているみたいで外せません
よろしければご教授お願い致します

投稿: starion | 2010年1月19日 (火) 08時06分

starion様

ディスプレイのすぐ下のパネル(BLANK SCANと印字されている周辺)部分が、下のプラスチックパネルと強固な両面テープでくっいています。パネルが少し曲がるぐらいの力でひっぱりながら、間に細いマイナスドライバーなどを入れ、間の両面テープを少しずつ剥ぎながら取り外した記憶があります。焦らずゆっくり時間をかけてやるのがこつだと思います。

投稿: 所長 | 2010年1月19日 (火) 09時34分

こんばんは。
R-919Xで検索してましたら、辿り着きました。突然で申し訳ありませんがアドバイス頂ければ助かります。
じつは、動かない919が我が家にやって来ました。出来たら直してみようと思い電源を入れましたが、いきなりウォーンと結構大きな音がするだけで全く動きません。開けて見ると、ベルトは融けてモーターが単独で回転している音です、注油等してみました効果なしです。このモーターは不良でしょうか(普通はほとんど音がしないと思いますが)? モーター不良であればこれ以上止めた方が良いでしょうか、所長のご経験からアドバイスをお願いします。

投稿: mtkon | 2010年6月27日 (日) 19時38分

mtkon様
モーターも経年変化で、裸で聞くと結構回転の音が大きくなります。私は正常に回転しており、シャーシの蓋をして気にならない程度ならば交換せず良しとしています。
ところでキャプスタンモーターには回転数(2400rpm)制御回路が内蔵された、正しいもの(EG-500AD-2F)が付いているでしょうか。たまに素人さんが修理して、誤って制御機能のない普通のDCモーターが付いていたりします。この場合高速回転して、すごい音がします。またモーターの型は正しくても内部の回転制御回路が故障した場合には、やはり高速回転になります。これらの場合には、モーターを交換する必要があります。本ブログのキャプスタン駆動用モーターの記事をご参照ください。

投稿: 所長 | 2010年6月27日 (日) 23時16分

所長 殿

早速の返事大変有難うございます。
調べましたら、モーターはEG-500AD-2Fで純正で間違いありませんでした。しかしカバーをつけても結構大きな音がするので、モーター交換の方向で検討します。Electronix Onlineで見るとモーターの型番が500が530となっており、定格は同じようですが問題ないでしょうか。しかし、こういった部品関係はアメリカの方が充実していますね。お世話をお掛けしますがよろしくお願い致します。

投稿: mtkon | 2010年6月28日 (月) 21時24分

mtkon様
500と530はわずかに外形が違うだけで互換性があります。シャフトや取り付け穴位置もJIS規格で同じだと思います。ベルトはFBM10.2、SBS6.4になります。合わせてご検討ください。

投稿: 所長 | 2010年6月28日 (月) 23時18分

所長 殿

こんばんわ。
アドバイス有難うございます。
あせらず頑張ってみます。

投稿: mtkon | 2010年6月29日 (火) 23時01分

はじめまして、入門用と思われるR-616Xを入手したのですが、どうにもフロントパネルが外せません。上記のコメントを参考にして試したのですが、力を入れるとどこかのプラスチックのかけらが出てきてしまいました。何かアドバイスがありましたら、お願いいたします。

投稿: bobbob | 2010年7月16日 (金) 00時58分

bobbob様
616Xはどうか分かりませんが、919Xでは確かフロントパネルの上下面はネジとツメで、正面は部分的に両面テープで固定されていたと思います。上下の面が完全に外れていれば、あとはディスプレイとボタンの間の部分の裏に張り付いている両面テープを根気よく剥がすだけです。かなり強固ですので、あまり一気に力を入れるとフロントパネルが破損する可能性があります。小さなマイナスドライバーを間に入れるなどして、少しずつ剥がしてください。

投稿: 所長 | 2010年7月16日 (金) 09時44分

所長 様

外れました。

基盤を通して、フロントパネルを固定するクリップが二つ合っただけでした。クリップを外すとあっけなく外れました。

底板にドライバーをこじった後を作ってしまいました。残念。よく見るべきでした。

所長様には、お手数をおかけしてしまいました。

ありがとうございました。

投稿: bobbob | 2010年7月16日 (金) 16時49分

Hello: I have this cassette deck, thanks for the photos! I have a question about the working, can you help me? Thanks inadvance, Claudio from Argentine.

投稿: claudio | 2010年8月18日 (水) 23時03分

Hello Claudio,
Anything OK.
But as you know I am not a professional engineer of cassette decks.
Thank you.

投稿: Webmaster | 2010年8月19日 (木) 00時57分

いつもテレコ整備の資料として大変参考にさせて頂いている大学生です。この度ジャンクのR-919Xを入手し、ベルト交換、リール軸受注油を行い、一応回るようにはなりましたが、リバース側で再生する際、テープの始めの方と終りの方それぞれ3分間程度、走行が不安定になり、周期的に音がこもったり直ったりを繰り返します。
ヒステリシステンションサーボの調整をしてみましたが変化無しです。これはヘッドの摩耗でどうしようもないのでしょうか。

投稿: HA-70M.S.T | 2013年1月13日 (日) 14時40分

HA-70M.S.Tさま

大学生の方とは恐縮です。ご自分がお生まれになった頃に発売されたデッキばかりですから、完全な骨董品ですね。
周期的に音がこもる場合、ヘッドの摩耗よりもテープパスが不安定になってる可能性があると思います。特にフォワードは正常でリバースだけおかしいのであれば、同じヘッドを使っているので摩耗が原因である可能性は逆に低いのではないでしょうか。
またテープの始めと終わりだけがおかしいというのであれば、テープ側に問題がある可能性もあります。古いテープになるとリード(最初の白いテープ)との境目が転写されて、テープの最初と最後にしばらく段差が付いてしまうことがあります。おかしい領域でのテープの面をよく観察してみてください。

投稿: 所長 | 2013年1月14日 (月) 13時19分

ご回答ありがとうございます。そういえばテープによっては不具合が起こらない事もありました。周期は殆どテイクアップリールの回転と一致しています。
実は今回入手した919Xは2台目で、先に入手した完動品の919Xの「マニュアルキャリブレーションでmaxellURのような安いテープでもHi-Fi録音出来る」性能に感動し、ダビング等に用いる為に手を出したものです。それまで用いてたTEAC V-R1はクロームテープ以上ならば素晴しい性能を発揮していましたが、URではどうしようもない事から919Xに乗り換えました。V-R1は現在、部活の設備として活躍しております。
しかし、ある雑誌(ラジオの製作1972年8月号)によれば、「非常に高価な機械は同形式を2台揃えると僅かな性能差が気になって精神衛生上悪い」そうですが、その事を痛感しました。今度は970Xを入手出来る機会がありましたら使ってみたいですね。

投稿: HA-70M.S.T | 2013年1月14日 (月) 19時45分

所長さま
いつも参考にさせていただいています。アドバイスありがとうございました。テープの段差が一つの原因とはいえ他の個体やフォアードで不具合が出ないのにリバースだけ不具合が出るのは納得がいかず、各ヘッドをつついてみました。するとリバース側消去ヘッドをつついたときに一時的にしろ回復したので、リバース消去ヘッドの前後位置を決めているナットを少し締めたところ、完治しました。
テープパスが悪いというアドバイスのお陰で直すことが出来ました。
これで私より10歳上のカセットデッキの機械的不具合は無くなりました。しかし、CrO2録音時に僅かながらFMステレオの無音時に聞こえるような、「ピュー」というノイズがLチャンネルに録音されることに気がつきました。NRで低減出来るので録音バイアス回路の異常かと思いますので、とりあえず録音アンプの電解コンデンサ全換装を検討しています。
この手の不具合の修理経験がございましたらアドバイスをお願いします。

投稿: HA-70M.S.T | 2013年1月24日 (木) 23時03分

HA-70M.S.Tさま

私の経験では電解コンデンサーがノイズ源であったという経験は今までありません。もちろんその可能性は否定しませんが、闇雲に交換してもどうかと思います。

投稿: 所長 | 2013年1月25日 (金) 00時47分

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